司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成18年 刑事系科目

第18問 (配点: 3) 備考: 3問正解で部分点1点


因果関係に関する次の【見解】AないしCを採って後記の【事例】Ⅰ及びⅡを検討し,後記のアからエまでの各記述につき,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

【見解】

因果関係を肯定するためには,

A. その行為がなかったならばその結果が発生しなかったであろうという条件関係が必要であり,それで足りる。

B. Aにいう条件関係の存在を前提に,行為当時一般人に認識・予見可能だった事情及び行為者が特に認識・予見していた事情を基礎として,その行為からその結果が生ずることが相当であると認められることが必要である。

C. Aにいう条件関係の存在を前提に,行為当時存在したすべての事情及び一般人に予見可能だった行為後の事情を基礎として,その行為からその結果が生ずることが相当であると認められることが必要である。

【事例】

Ⅰ. 甲がVを後ろから突き飛ばしたところ,Vは転倒して頭部打撲の傷害を負った。Vは心臓に異常があり,心筋こうそくが起こりやすい状態だったため,転倒により心筋こうそくが起こって死亡した。

Ⅱ. 甲がVの頭部を鉄パイプで殴打したところ,Vは脳挫傷の傷害を負い意識不明の重体になったが,甲はVを路上に放置したまま立ち去った。その直後,その場所を通り掛かった乙運転の自動車がVをひいたため,Vは内臓破裂により即死した。なお,Vは,乙運転の自動車にひかれなくても,翌日には脳挫傷により死亡していたと認められた。

【記述】

イ. Ⅰの事例で,行為当時,一般人はVに心臓の異常があるという事情を認識・予見することができなかったし,甲も認識・予見していなかったが,甲はその事情を認識・予見することができた場合,AないしCのいずれの見解からも,甲の行為とVの死亡との間の因果関係が肯定される。

「平成18年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006519.pdf)をもとに作成

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